スクールライフ

令和元年度 卒業式/校長・式辞

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式 辞

「冬来たりなば、春遠からじ」

この季節になると、思い起こす言葉です。どんな厳しい冬であろうと、心地よい春は、必ずやってくるよ、という温かい励ましの言葉ですが、卒業の季節を前に、突然の臨時休校となった今年は、心により響きます。

今、六年生のみなさんに、第四十八回卒業生として、卒業証書をお渡ししました。ご卒業、おめでとうございます。

さて、突然の臨時休校により、みなさんの元気な声が響かなくなった白鳳小学校。そんなある日、三月十日のホームページの内容です。

今日は、朝からの雨…臨時休校でもあるし、何となくつまんないな!と思っていたら…午後になって、雨も上がり、晴れ間も…職員室から「あっ、虹だ!」という声が…校長室から外を眺めてみると、きれいな虹が出ていました!気分がパッと明るくなったのは、私だけでしょうか?

みなさんは、この日の突然の「虹」、気づきましたか。

そして、驚いたのは、翌日の、こんなニュースでした。

東日本大震災から丸九年。発生時刻の午後二時四十六分を過ぎたころ、宮城県名取市の震災メモリアル公園上空に、大きな虹がかかった。見上げた女性は犠牲者を思い、「こうやって渡ってきてくれたんだね」とつぶやいた。

この日、三月十一日には、ちょうど震災発生時刻に、東北の震災各地で、この希望の「虹」が目撃されたそうです。私は、ちょっと大袈裟かも知れませんが、奇跡だと感じました。人というのは、どんな時でも、希望と明るさを絶やさないことが、次への一歩、未来への夢を実現させてくれると信じています。

こうした「虹」をめぐる心の高ぶりは、「オズの魔法使」というミュージカル映画のワンシーンを思い浮かべさせてくれます。とても古い名作なので、みなさんには、あまり馴染みのない作品かもしれませんが、未だに愛され続けている名曲があります。「サムフェアー オーバー ザ レインボウ」、邦題「虹の彼方に」の一節です。

どこか虹を超えたところ ずっと上のほう

そんなところがあるって いつか子守唄で聞いた

どこか虹を超えたところ 空は青く

そしてあなたが夢見る、そんな夢見る夢だって

本当に実現する

主人公ドロシーは、空を見上げながら切々と思いを歌い上げます。そして、愛犬トトとともに、不思議なオズの国への旅、自らの心の旅へと旅立ちます。結末は、みなさん、ご存じだと思いますが、自分の故郷こそ、虹の彼方にあるところだと気づき、「故郷のような場所は何処にもない」という言葉とともに、ドロシーの心の旅は終わります。

主人公の少女ドロシーは、ちょうどみなさんと同じような年頃の設定となっています。つまり、思春期を迎える人たちの象徴として描かれているのです。みなさんも、今日、こうして卒業を迎え、新しい世界へと旅立ちますが、それは、また、みなさんの心の旅のはじまりでもあります。明るく、希望のある、そして、素敵な自分だけの夢いっぱいのゴールが、みなさんを待っているはずです。

そんな旅立ちの日と思うと、みなさんが過ごした白鳳小での六年間という期間も感慨深いものがあるのではないでしょうか。たった今、お渡しした一枚の卒業証書には、そうしたみなさんの六年間の成長と努力と思い出がつまっています。みなさんの成長の証として、とても価値のあるものなのです。

さあ、明日から、みなさんは、もう中学生です。一歩一歩、人生の階段を上っていくことになります。

夢や目標は、ありますか。

ともに励まし合う友は、いますか。

生きがいは、見つかりましたか。

「はい!」と答えられた人は、これからも大切に前を向いて歩んでください。「うーん!」と考え込んでしまった人は、ぜひ、四月からの新しい生活の中で、いつか、どこかで、見つけてください。ドロシーのように、ひょっとすると、本当の自分が見つけられるのは、もっともっと先の事かもしれませんが、これからは、いつも、そうした自分と向き合うことが、とっても大切です。そして、迷ったり、悩んだり、困ったりした時は、ぜひ、身近にいる大人の人にも、素直に相談してみてください。ちょっと、照れくさいかもしれませんが、遠慮したり、気遣いしたりする必要はありません。ドロシーにとって、故郷がそうであったように、あなたの側に、いつもいてくれる人は、あなたのことを心から大切に見守っていてくれる人たちだからです。きっと、答えは出なくとも、また、新たに歩き出せる勇気や元気をいただけるはずです。みなさんの人生は、みなさんのものです。どこをめざして歩くかは、自分で決めなくてはいけません。今までの自分に自信をもって、一歩一歩、慌てなくてもいいから、しっかりと歩んでください。

そして、最後に、もう一つ忘れてならないことがあります。それは、皆さんがこうして立派に成長するまでには、地域の方々や先生方からの温かい見まもりや励まし、そして何よりも家族の方々の献身的な支えがあったことです。いつも近くで支えてくれている方々がいることを忘れず、感謝の気持ちを持ち続けてください。そして、何かの機会に、まわりの人たちへ感謝の気持ちを態度で表すことができる人になってください。たとえ直接お世話になった人でなくとも、困った人がいたら素直に助けてあげる、そんな心の広い、大きな人になってほしいと思います。

終わりに卒業生の皆さんの限りない前途をお祝いするとともに、皆様のご健勝をご祈念申し上げまして、式辞といたします。

 

令和二年三月十九日

尾張旭市立白鳳小学校長 加藤 奈保樹

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