校長室から

第40回卒業証書授与式/校長・式辞

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 「式 辞」

 暖冬で始まった今年の冬は、年明けに寒さが強まりました。しかし、その寒さもそろそろ終わりを告げ、陽ざしも日増しに明るさを増し、春のいぶきを感じさせる本日、公務ご多用にもかかわらず尾張旭市長 水(みず)野(の)義(よし)則(のり)様を始め、多くの来賓の皆様にご臨席を賜り、「東中学校 第四十回卒業証書授与式」に花を添えていただきましたこと、高い席からではございますが、卒業生、教職員にかわりまして、心より感謝を申し上げます。誠にありがとうございました。
 278名の卒業生の皆さん、皆さんは今、九カ年にわたる義務教育を修了し、それぞれの思いを胸に、三年間、慣れ親しんだ学舎(まなびや)をあとにしようとしています。
 「卒業」それは、人生において、誰もが何度か経験する区切りとしての行事であります。一つの事の終わりを告げるものであると同時に、新たな人生の門出への祝いでもあります。記念すべきこの時に、本校教職員を代表して、心からのお祝いの言葉を申し上げます。卒業生の皆さん、ご卒業、おめでとうございます。 私が皆さんと出会ったのは、三年前、私が本校に赴任したときの入学式の当日でした。真新しい制服に身を包んで、緊張した表情でこの体育館に入場してきたと覚えています。本日お渡しする本校の広報誌「ひんがし」に書きましたが、共に過ごしてきたあなた方を送り出すことは、私にとって大きな喜びであると共に、感慨もひとしおです。
 さて、卒業生の皆さんにとって、東中での三年間はどのようなものだったのでしょう。最上級生として過ごした今年度、皆さんには、様々な機会にメッセージを送ってきました。そこで、皆さんの、輝かしい門出に当たり、私が送ってきたメッセージとともに、日頃考えていることの一端をお話して、はなむけの言葉としたいと思います。
 四月の始業式において、「東中生として、学校を愛し、誇りに思うことができる生徒であってほしい。そして、東中の一員として、自分を大切にし、自分の品位を保つことのできるプライドを持ち続けることのできる生徒であってほしい。」と伝えました。その言葉を受け、今、私の目の前の皆さんは東中学校の顔として大きく成長してくれました。今日を迎えるまでには、様々なことがありました。
 一学期、修学旅行に出かける前には、修学旅行という大きな舞台において、一人一人が主人公となって、自ら進んで、その役割を演じてほしい。まわりに働きかけてほしい。その中で、東中の顔として、どんな姿を目指し、どんな自分を演じるのかをしっかり考えて、実行してほしいと伝ええました。あなた方は、様々な人との関わりの中で、時間の大切さや計画を実行する難しさ、人々の心の温かさを身をもって体験したことと思います。
 そして、二学期、一人一人の頑張りと支え合う思いがつながり合うスクールフェスティバル。この舞台では、どのクラスも皆さんが、しっかりと、自分の思いを込めていくことが必要であり、また、自分だけでなく、周りの仲間同士、同じ目標に向かって、支え合っていくことが大切ではないかと伝えました。
 なぜなら、この行事は、与えられた役割を、持っている力を発揮して演じる舞台だと考えているからです。一人一人、ある場面では主役であったり、また、ある場面では、主役を支え応援する役であったりします。それぞれの場面で、与えられた役割を、自分の持ち味を生かし、その力を結集し、クラスの目標達成に向かって一致団結し、互いに認め合い、頑張り合い、そして支え合い、協力し合うことを学ぶことができる、本校にとって、とても重要な活動であるからです。
 あなた方三年生の頑張りと、支え合う思いがつながり合い、達成感のある、素晴らしいフェスティバルを創り上げてくれました。
 体育祭では、「最後まで頑張り通す強い思い」と、「友達を見守り、最後まで応援する優しさ」を見せてもらいました。しかし、これからの人生において、最後まで頑張り通すことは簡単ではありません。そして、見守る優しさには、思いを伝える勇気がいります。でも、その姿は、とてもすがすがしく、周りの人に大きな感動を与えます。このことを、いつまでも忘れないでいてください。
 文化祭では、調べることで、自分の能力が高まり、一つ一つの文字に思いを込めて、グループで協力し、丁寧にまとめた壁新聞を作成しました。ここでは、協力し合うことが、いかに大切なのかを感じ合えたと思います。
 そして、合唱祭でも、一人一人が、与えられたパートで、心を込めて歌い、その音を集めることでステキなハーモニーが生まれました。そして、クラスの心が一つになり、すばらしい歌声となって、響き渡る合唱になったと実感しています。どのクラスも、素敵な歌声を聴かせてくれましたが、とりわけ、三年生の合唱は、会場で聴いていた私達に、クラスのまとまりの素晴らしさや、その歌う姿勢、心を揺さぶる歌声など、大きな感動を与えてくれました。
 私は、行事というものは、仲間との協力により、自らの心を育てるものであり、成長する場であると思っています。ぜひとも皆さんには、思いやる心、協力する心、やり通す力など、多くのことを学ぶことができた本校の行事で得たものを、これからの生活に生かしてほしいと思っています。
 もう一つ、私が日頃から思っていることをお話しします。それは、「共生 共に生きること」ということです。昨年もお話ししたことですが、このことは、私が東中に赴任してからずっと伝え続けていることなのです。
「共生」とは「共に助け合って生きていく」という意味であり、これからの時代を生きていくうえで、忘れてはならない言葉です。
 二年前の二学期の終業式に、「人」そして「人間」という字のお話をしました。人は、互いに寄り添いながら支え合い、多くの人の間(あいだ)で、関わり合いながら生きています。
 人は決して一人では生きていけません。
でも、ある一時点を取れば、自らの努力や頑張りの力で成果を出していることは事実です。皆さん自身も、今日の日を迎えるにあたり、学習面や運動面、芸術面などにおいて、自力でそうしてきたところもあったのではないでしょうか。しかし、その時点に至るまでには、多くの方々の支えや助けがあったと思います。それは家族であったり友達であったり、先生方であったり、地域の方々であったりします。
間違っても、その方々の信頼を裏切るような行為は絶対にあってはなりません。
 自分勝手な行動を慎み、「自分とともに、他の人もよりよく生きたいと願っている」ということに気づいてほしいのです。
 ここにいる皆さん一人一人が、この地球上で、ただ一人のかけがえのない大切な存在であり、今、あなたがこの場にいること、そのこと自体が素敵なことである、ということをこれから先も絶対に忘れないでください。

 義務教育の終了に当たり、決して忘れてはならないことがあります。それは、私がお話しするまでもなく、これまでの九年間、常にあなた方の背後には、何かにつけて、お支えいただいたご家族をはじめ、多くの方々の存在があります。特に、心身ともに急激に成長し、動揺の激しいあなた方の成長を願って、これまで見守り続けてみえたことと思います。義務教育が終わる今、今度はあなた方が、見守っていただいた方々の温かい気持ちに応える番です。ぜひとも感謝の心を伝えてほしい。「ありがとうございました」と、心を込めて思いを伝えてほしい。皆さんには相手の気持ちを受け止め、相手の心に耳を傾けることができる人になってほしいと願います。

 結びになりますが、本日、ご臨席いただきました来賓の方々、そして、保護者の皆様に対しまして、今日まで本校の教育活動に寄せられました、ご理解とご協力に対して、教職員を代表し、厚く御礼申し上げます。
 卒業していく生徒たちは、まだまだ未熟さがあります。皆様方からの、より一層の温かい見守りとお力添えをお願いいたします。
 新しい人生の門出にあたり、卒業生の今後の健やかな成長を祈って式辞といたします。

 平成二十八年三月四日
   尾張旭市立東中学校長  山内 賢一
 

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