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卒業生「別れの言葉」

別れの言葉

 

日々やわらかくなる日差しに、校庭の桜の蕾も色付き始め、春の訪れを感じる季節となりました。今日のよき日、私たち卒業生のために、このように厳かで、晴れやかな式典を挙行していただき、誠にありがとうございます。また、ご出席いただきました先生方、保護者の皆様、これまで色々な準備をしてくれた在校生のみなさんに厚く御礼申し上げます。

 

三年前、大きめの制服姿に少し照れながら、満開の桜の下で、私たちはこの旭中学校に入学しました。初めて出会う仲間や、先生方に緊張しながらも、中学生として新たな一歩を踏み出しました。

 

一年生の春、新しい仲間と共に行動し、絆を深めた校外学習。班で考えた計画を基に、尾張旭市内をめぐりました。へとへとになりながらも時間内に目的地にたどり着けた達成感は、とても大きなものでした。

秋には地下鉄などを乗り継ぎ、班ごとに決めた名古屋市内の施設をそれぞれ見学しました。到着時刻や所要時間を調べてルートを考えましたが、当日は乗り継ぎで迷ったり、道を間違えたりするアクシデントもあり、事前準備の必要性を感じました。班のみんなそれぞれが、駅の案内や時間を確認し、自然と役割分担ができました。協力することの心強さと、同じ課題を共有し、解決する楽しさを感じました。

 

体育大会や文化発表会では、生徒が主体となって司会進行を行うことに、中学生になった責任の重さを感じました。

体育大会での全員リレー。皆が主役になってバトンをつなぐ姿を見て、応援にも力が入り、声も枯れるほど盛り上がりました。

文化発表会は、指揮者や伴奏者のオーディションから始まりました。一年生のころには難しかった合唱曲も、三年生になるころには、曲の歌詞を理解し、それぞれのパートの音の響きを考えるようになりました。みんなで奏でるきれいなハーモニーは、クラスの団結の音となり、とても心に残りました。

 

部活動に入部したばかりの一年生の頃。疲れすぎて苦手な練習を嫌々するときがありました。そんな後ろ向きの態度は、すぐに顧問の先生や先輩に見透かされ、注意されることもありました。大会や試合で素晴らしい結果を残す先輩の強さに刺激を受け、私たちはみんなで競い合い、常に先輩の背中を追い続けていました。

しかし、仲間と共に高めあう楽しく貴重な時間は、新型コロナウイルスの影響により突然奪われてしまいました。

コロナ禍の中、私たちは最高学年になりました。最後の大会が奪われてしまった先輩方の分まで自分たちが頑張ろうという強い決意から、時間の許す限り、声を掛け合い、真剣に練習に取り組みました。時には意見が合わず仲間とぶつかりあったり、思ったように練習成果が出ず、悔しい思いをしたりしたこともありました。共に努力して流した、たくさんの汗と涙は、仲間との絆をより深めてくれました。

無観客で行われた三年生最後の試合や大会は、応援し、送り出してくれた後輩や先生方、家族や仲間に力をもらい、全力でやりきることができました。

 

コロナ禍であるからこそ、より特別に感じられたこともありました。

二年生の春に行くはずだった若狭での野外学習は、秋に行くことになりました。真っ赤な炎を囲み、笑いあったあのキャンプファイヤーのひとときや、真っ暗な中に描かれる光の舞の美しさ。腕がパンパンになりながら必死で漕いだカッター漕艇など、普段はできない体験の思い出は一生の宝物です。

 

日程や行き先の変更があった修学旅行。伊勢神宮では受験合格を祈願してお守りを授かる姿もありました。おかげ横丁で友達と食べたコロッケは、アツアツで格別でした。伊勢うどんやお饅頭、水族館で買ったお土産でいつのまにか両手がふさがってしまう子もいました。旅館で先生に見つからないように、ひそひそ声で真夜中まで話をしたことは、今でも昨日のことのように鮮明に覚えています。

 

コロナ禍においての野外活動や修学旅行では、全員が安心して楽しめるように実行委員が知恵を出し、一丸となって取り組みました。苦境の中で楽しむ強さや、様々な行事が多くの方の協力の上に成り立っていることへの感謝の心は、これからもずっと持ち続けていかなければならないと思いました。

 

私たちが日々の学校生活を楽しく送ることができたのは、いつも先生方や家族、地域の方々や在校生の皆さんの支えがあったからです。

 

地域の方々と通学路で交わす笑顔の挨拶は、心がすっきり洗われて、気持ちよく安心できるものでした。また、地域の方々が栽培した野菜や果物を使った給食はとてもおいしく、いつも楽しみでした。大好きな給食が食べられなくなると思うと、とてもさみしく思います。

 

先生方は、私たちの気持ちに常に寄り添い、応援してくれました。臨時休校から始まった二年生の新学期。友達とも会えず、授業も十分に受けられない中、不安だけが募っていきました。そんな時、旭中学校のホームページで毎日更新される先生方の温かいメッセージが私たちの不安を和らげてくれました。

また、挨拶や礼儀、時間を守ることの大切さなど、これから私たちがそれぞれの道へ進み、歩んでいく中で必要なことを気づかせ、時には厳しく叱ってくれました。

学年集会や授業の中で先生方が話してくれたたくさんのお話は、とても心に響き、今後進む道で立ちすくみ迷ったときに、思い出し、背中を押し導いてくれると思います。

 

そして、いつもそばにいて一番近くで私たちを見守ってくれた家族。友達関係の悩みや、部活と勉強の両立への疲れから、無口になり心配もかけました。三年生になり進路を考える中、努力してもなかなか成績に結びつかず、焦りと不安が大きくなりました。希望進路と現実とのギャップに落ち込み、強く当たってしまうこともありました。そんな私たちを真正面から受け止め、納得のいくまで何度も一緒に考えてくれました。背丈も伸び、目線も高くなっていく私たちを、そっと支えてくれました。本当にありがとうございました。まだまだ傾いたり、折れてしまったりしそうになることもあるかもしれません。自分の足で立って一歩踏み出そうとする私たちを、これからもよろしくお願いします。

 

在校生のみなさんへ。お礼をこの場で直接お伝え出来ず、とても残念です。しっかりしていて頼りになる後輩がいたからこそ、私たちも成長していくことができました。卒業までの期間はあっという間に過ぎてしまいます。旭中学校での一日一日を大切にしていってください。そして、自分が卒業していくとき、全力でやりきったと誇れるような中学校生活にしてください。最上級生として旭中学校をひっぱるみなさんの心強い姿を想像し、応援しています。

 

三年生の仲間たちへ。カウントダウンカレンダーの数字がひとつずつ減っていくたびに、ため息の数が増えていきましたね。勉強で切磋琢磨できる友達、笑い合い助け合えるたくさんの友達。教室で授業を受け、放課にいろいろな話で盛り上がって笑っていたい。まだまだみんなと一緒に過ごしていたい。今でもそんな気持ちでいっぱいです。

 

でもこれからは、それぞれの道へ、未来へ、前を向いてつき進んでいかなくてはなりません。将来、私たちが大きな一歩を踏み出したとき、旭中学校で過ごした三年間はきっと、思い出と心の原点となって輝いているでしょう。

この学校で出会った290名の特別な仲間はいつまでも忘れません。

今まで本当にありがとう。

 

今日、卒業生全員で合唱するはずだった「群青」という曲。新型コロナウイルス感染症対策のため、残念ながらピアノ演奏のみとなってしまいました。群青に染まった鮮やかな三年間の記憶を思い浮かべながら、心の中で歌いたいと思います。

 

最後になりましたが、ご臨席賜りました皆様のご健勝と、旭中学校のますますのご発展を心からお祈り申し上げて、別れの言葉といたします。

 

令和四年三月三日

卒業生代表

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