校長室より

卒業式 校長式辞

 卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

 みなさんとの出会いは、昨年の四月五日、入学式の準備の日からでした。本当に月日がたつのは早いものです。

 さて、2学期の始業式でみなさんに約束してほしいと話した内容を覚えていますか

 その約束とは、「自分がされていやなことは、人にしない、言わない」でした。

 今日でお別れするみなさんに、この卒業式の場で、改めて約束してほしいです。

 これからもずっとずっと約束してほしいです。

「自分がされていやなことは、人にしない、言わない」ことを。

 では、なぜ、この約束が大切なのか、理由を説明します。

 みなさんは、これから中学校に進学し、場合によっては、高校、大学などを卒業して、

誰もが最後には社会に旅立ちます。

 その社会には、若者も高齢者も、女性も男性も、障害や難病のある方々も、一度失敗を

経験した人たちなど、様々な人がいます。

 また、グローバル社会が進み、言葉や文化の全くちがう人たちとも生活することになります。

 こうした「自分とは違う」様々な人たちと共に生きる社会で、大いに活躍するためには、

自分とは違う他の人をきちんと意識することが大切なのです。

これを「他者意識」といいます。

「他者意識」を持たないまま社会に出て行ってしまうと、会社や職場、そして地域社会に

取りこぼされてしまう危険性があります。

 この約束を守ることで、大人を含めた周りにいる一人ひとりにとって嫌なことは何だろう、

と想像して考えるきっかけになります。

 もしも、仮に自分にとっては嫌ではないことを、相手にしてしまって、トラブルになった時でも、

そこで初めて「自分とは違う価値観」を身に着けることができるわけです。

 このたった一つの約束はこんな力をもっているのです。

 だから、これからもずっとずっと約束してほしいのです。

 わたくしとの約束だけでなく、みなさんがこれから出会う人たちや、みなさんの子どもたちとも約束して、

この力のある約束の輪を広げていってほしいです。

 でも、人間なので、約束を守れないときも、約束を忘れてしまうときもあるでしょう。

 その時のために、「自分で自分をほめられますか」と自分自身に問いかける習慣を身につけるといいです。

自分の言ったこと、やったことに対して反省する習慣です。

 良いことをしたらほめる、よくないことをしてしまったら、この後どんな行動するのか考えて行動すれば

いいのです。

 この「自分で自分をほめられますか」は、学校集会で、「トイレのスリッパはなぜそろえるのか」という

質問でお話ししました。

「次の人が気持ちよく使いやすいからそろえる」ではなく、

「誰も見ていないから、そろえずに行ってもいいけど、そろえた」

 つまり、トイレのスリッパをそろえることで、「自分はよいことをした」。

 だから、「よいことをした自分」を自分でほめてあげることができるのです。

 人からほめてもらうと、うれしい、気分がいいですね。ところが、自分で自分をほめても、うれしい、

気分がいいと、「脳みそ」は思うのです。

 残念なことに、人からほめてもらうのはめったにありません。

 でも、良いことをすれば、たとえ誰も見ていなくても、いつでもどこでも、

自分から自分をほめてもらえるのです。

 以上、「自分がされていやなことは、人にしない、言わない」というたった一つの約束と、

「自分で自分をほめられますか」という自分の言動へのチェックポイントをお話しして

卒業生の皆さんへのお祝いの言葉とします。

保護者の皆様、お子様のご卒業おめでとうございます。

 本日をもって、6年間お預かりしました大切で、かけがえのないお子様をお返しいたします。

 皆様の深い愛情で、お子様は立派に成長されました。これからは、応援・励ましの言葉で、

お子様の成長を見守りください。

 保護者の皆様、6年間の本校の教育活動へのご支援・ご協力に感謝いたします。

本当に、ありがとうございます。

 最後に、尾張旭市から卒業生に英語の辞書を、東栄小学校PTAからは卒業証書のフォルダーを

いただきましたことをお伝えするとともに、ご臨席いただきましたご来賓の皆様に感謝申し上げ、

校長式辞といたします。

 北門の二宮金次郎さんも、新しくなった運動場も、卒業生をお祝いしています。    

 平成29年3月16日       尾張旭市立東栄小学校 校長 姫岩弘治